自己破産の準備
ドルに対する近未来予測は、「アメリカが財政赤字の縮小に努め、一方で生産的投資を増やして国際競争力の強化に努めれば、アメリカの経常収支赤字は徐々に縮小して、ドルの通貨基盤が改善する可能性はある。
われわれはアメリカでそうした政策努力が続けられることを期待しているが、残念ながらこれまでのところそのペースは緩慢であり、予見しうる将来において、ドルが単独で世界経済の成長を支える揺るぎない国際通貨として復活する見込みは乏しいように思われる」とされている。
残念ながら「アジア通貨危椴でのドルの強さ」「マルクをベースとする通貨カクテル、ユーロの対ドル弱体化トレンド」「世界経済の対米依存度の高まり」などの中期の予測は、外しているようだ。
「現在の国際通貨システムとその問題点」という項目で、「(変動相場制といわれる現在の)国際通貨システムができ上がってからおよそ2000年が経過した。
2度の石油ショックに翻弄された1970年代から1980年代にかけての世界経済の激動期にあっては、しょせん固定相場制を維持することは不可能で、1973年から世界的に変動相場制が採用されたのは不可避的な成り行きであったといえるかもしれない」と記述している。
アジア通貨危機1997年7月にタイで発生した通貨金融危機が、その後東アジアに波及し地域の経済が大混乱に陥った現象。
タイ市場から多額の資本逃避がはじまり、タイ・パーツが下落したことに端を発した「N・ショック」が「戦略的緊急避難」であるとの戦略的分析を行う立場にたつと、その裏に隠された狙いは「低価格」での「金備蓄の増大」ということになる。
そのためには、金価格は低迷を続けることが望ましい。
そこで疑問がわいてくるのは、ではどうして、1973年と1979年の第1次と第2次石油ショックまでは「石油が上がれば金も上がる」という構図が成立していたのに、1980年の史上最高値1オンス850ドルを形成してから以後は、石90,第1次、第2次石油ショックで金価格が上昇した理由日本の多数説や通説的な変動相場制に対する認識は、このように状況的、現状肯定的、事後追認的なものである。
アメリカの「戦略的緊急避難」であり、その背後にはもろもろの戦略的狙いが隠されているというようなポリティカルエコノミー的視点への目配せは一切なされていない。
これが日本が通貨問題を考えるときのていたらくである。
このようなスタンスは、「危機管理意識のない通貨問題アプローチ」といえるだろう。
@2年前の「N・ショック」により、ドルはマルクスのいうところの「金の錨」から解放され、変動相場制という自由な環境に置かれていた。
A同じく、「金」は「通貨としての機能」を排除され「商品としての金」として、価格変動の自由の身になっていた。
油価格上昇と金価格上昇は連動しなくなったのであろうか。
今、このことを明快に説明できる人はいない。
このことを説明するためには、まず、なぜ、「石油価格と金価格が連動するようになったか」の理由を明らかにする必要がある。
じつはここに秘密が隠されているそして「石油価格と金価格の連動」を理解するには、「石油」「ドル」「金」の相関関係の研究が必要なのである。
新しい法則を発見するには、現実に起こっている事象の観察から始まる。
一見無関係と思われる事象に中間項ともいうべき概念を導入し、その概念のフィルターをかけることにより、通常では見えない因果関係や相関性が浮上してくる。
こうした思考プロセスから、仮説や法則がみえてくるのだ。
第1次石油ショックの前後の、「石油」「ドル」「金」の状況は、どうだったのだろうか。
ボバイ演脱米国にはポバイのほうれん草に相当するエネルギー資源は十分にあると自個を示した演出B1972年、商務長官Pーターソンは有名なボパイ演脱で、「環境問題があるため 2000年代には石油の需給ギャップが生じ、アメリカも輸入石油に依存せざるをえない。
そのときアメリカの貿易収支は巨額の赤字になる。
石油輸入国において支払い代金をめぐり”野蛮な通貨の争奪戦“が起こる」と警告した。
Cアラブ産油国は、ベトナム戦争によるドルの垂れ流しがもたらす「ドルの減価」に、強い不満をいだいていた。
D石油を安い公定価格で支配していた米系オイルメジャーは、アラブ産油国の「ドル減価」への不満を知っていた。
Eすでに石油の需給はタイトであり、ガスの充満した密室の状態であった。
このことを米系メジャーやアメリカ政府は認識していた。
このような@からEまでの条件がそろっているとき、戦略国家アメリカが何も対策をたてないとは考えられない。
国家戦略を公開するはずはない。
では、戦略国家アメリカはどのような戦略を立案したのであろうか。
これを探る方法は、一般公開情報と分析者のすでに身につけている情報処理能力の総合的アプローチしかない。
ひとつの方法は、私の提唱する「仮説的近未来予測法」がある。
「石油」「ドル」「金」は、いずれも本質的に通貨としての機能を内在させている。
「石油」は”黒い液体通貨“であり、「金」は”黄金の固体通貨“といえる。
「ドル」はいうまでもなく”基軸通貨“である。
また、「石油」「ドル」「金」は戦略的商品である。
「ドル」は固定相場時代には為替レートによって「交換」されていた。
しかし変動相場制時代においては、為替レートで「売買」されるようになったのである。
自国通貨のいくらで相手国通貨を買う、あるいは、相手国通貨のいくらで自国通貨を売る、という「売買」関係となったので、主観的期待が重要になり、変動幅が増大した。
つまりボラティリティーが「仮税的近未来予測法」のキーは、「石油」「ドル」「金」の相互関係先に触れたように、一見無関係と思われる事象に中間項ともいうべき概念を導入し、「仮説」をたてて、思考を立体的に組み立てていく方法である。
では具体的に、1973年の石油ショックを取り上げて、「「石油」「ドル」「金」の相関関係』を中間項として、「石油価格と金価格の連動」の構造の解明をして大きくなった。
「ドル」つまり「為替レート」も武器としての機能をもつようになったのである。
ここに「石油」「ドル」「金」は、武器機能をもつ”戦略商品“としての共通項をもつようになったのである。
これは先の@により「ドル」は武器機能を付与され、先のAにより「金」は武器機能を付与されたのである。
「石油」「ドル」「金」はともに通貨機能という共通項をもち、また、武器機能をもつ”戦略商品“としての共通項をもつようになった。
1971年の「N・ショック」で、「ドル」と「金」の@とAの変化がもたらされた。
1973年に石油ショックは起こることになるが、その直前の「石油」をとりまく状況がEである。
つまり「ドル」という「通貨の価値下落」という問題である。
そこで「仮説的近未来予測」を行うときの、最重要インフォメーションがBである。
このポパイ演説を見落とした人には、この時点で、「仮説的近未来予測」を組み立てることはおそらく不可能であろう。
「野蛮な通貨の争奪戦のメモページにヒントありポパイ演説は1972年に行われたが、このときは、Nが翌年発表する「エネルギー教書」の最終取りまとめをしている最中であった。
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