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背筋を真っ直ぐに立ち、胸を張りあごを引き、前方を見てやや大股で、歩幅をなるべく一定にし、足の裏全体の働きを知覚しながらできるだけ手を振って足を助けるようにし胸を張り、両手を振って大股気味に歩を運べば、これはもうゆっくり歩くわけにはいかない。
自然とスピーディな歩行になる。 人の目に姿も美しい。
人の目をだいじにし、よりスマートに、というゴルフの信条にも合っている。 混雑している中で、せわしなく暮らしている現代の都市生活者は、いつの間にか不定型のだらしない歩行運動に体が馴らされてしまっている。
ゴルフを趣味に持つ人は、コースで確かな歩行運動を復活させることができる。 わが国では、山岳地帯を造成したコースが増えたために、アップ&ダウンの激しいコース、ホールからホールへの高低差も激しく、移動距離も長いコースが多い。
開発時点から乗用カートを前提としたコースである。 さらに最近は、キャディ不足の解消、キャディへの負荷軽減、キャディフィ分のプライス、ダウンなどのために乗用カートの導入が進んでいる。
「快適ゴルフ」というセールストークのための導入も傾向となっている。 フラットな林間コースであるのに、メンバーの高齢化対策として導入する動きも盛んになってきた。

ただし、日本のコースの状況からして、アメリカのリゾート地やハワイのコースのように、フェアウェイへの乗り入れはなかなか難しい。 カート道路で下りて横走り、横戻り、グリーン奥からの往復のような無駄なことが必要になってきた。
当然ラウンドの所要時間も変わってくる。 比較的フラットな地形で、ホール間の移動もスムーズな、いわゆる名設計家の手になる古いコースでは、ハーフ2時間というのが昔から言われてきた目安である。
先に安である。 歴史の話題にした足腰の元気な人たちによって運営されてきたコースの目あるコースでは乗用カートなしで今日でも2時間を目安にしているところが多い。
時間日分を合言葉にしているところもメンバーだけの日はとれていけた。 ある。
ところが、時代とともにビジターが多くなった。 ビジターはクラブの常識を知らないし、緊張感も持っていない。
さらには、この人たちに比べたら経験の少ない人やビギナーも多くなるから、こられない組が多くなる。 2時間では戻って来らそして「ハーフ2時間で回ろう」という立て札が立つことになった。
この目安が一つの常識となって広まった。 厳密には、コースレートによって目安の時間は違うはずである。
山坂のトリッキーなコースでは、2時間は無理だろう。 パブリックコースなど、プレーヤーの質によっても違ってくる。

こうして最近は「2時間日分以内で」と2時間にプラス・アルファーのコース独自メンバーの目安を打ち出すところが珍しくなくなった。 『ゴルフ規則』第1章では、「プレーヤーは速めのペースでプレーするべきである。
委員会はプレーヤー全員を対象とするプレーのガイドラインを設けることができる」と謡っている。 ここには示唆に富んだ言葉が含まれている。
「速めのぺース」は「なるべく早く」と読むべきだろう。 「オレの速めはこんなものだ」と自分を甘やかしてはいけない。
自分にできる最速を目指すべきである。 前の組との間を無駄に空けないためであり、後続の組を待たせないためである。
プレーヤー一人ひとりが自分を甘やかすと、コース全体が、そしてひいては時代全体が遅いベースになっていく。 その結果の不都合はプレーヤー一人ひとりに返ってくる。
そのためには、コースごとの「プレーのペースのガイドライン」が計算されるべきだろう。 ガイドラインとは指標だから、平均の中の速めである。
常識のある組み合わせで、かつ互いの気配りさえあれば、ビギナーや身体の弱い人が入っていても、組としてガイドラインを目指すことは可能である。 「組として」、これがまたゴルフの美点でもあるのだから。
人それぞれの、速めのラウンド時間を可能にする土台は、歩き方である。 歩くコースであれ、カート移動の乗るコースであれ、ラウンドは歩きに一番時間がかかるからである。
ボール地点まで行くとき、無駄なく早歩きすることである。 カートまで戻るとき、人を待たせない。

グリーンから下りるとき、スコアなど付けずに、まずさっさと下りる。 次のティーへ向かうとき、次のオーナーは真っ先に行くことである。
昔は、「二里の道二時間」とよく言われたものだそうだ。 二里とは8岡である。
そのように、昔の人は日常よく歩いたから脚力が鍛えられていて、時代はのどかであったのに歩くのはさっさと速かった。 今は時代はせっかちなのに、老若男女問わず歩くのが遅くなっている。
都市化のために脚力が落ちているからではないだろうか。 ゴルファーはこの点に留意すべきだろう。
ピギナー・ファースト法。 または逆オーナー法。
うまくて飛ばす人が前の組の進行を待っている時間はもったいない。 よくやるレディ・ファースト法のように、飛ばし屋がオーナーを取ったら最後に打つ。
飛ばない人が「お先に打ちましょうか」と名乗り出るとスマートにいく。 打ち止め法。
昔よく言われたことだが、パーの数の三倍のストローク数になったところで、そのホールはその時点でストップ。 13ホールなら9打目で、14ホールなら7打目でギブアップ、ということだ。
プライベート・ラウンドなら、後続の組のためにそのぐらい気を利かすのがエチケットである。 ストロークプレーの仲良しコンペで、それではNR(ノーリターンスコア提出なし)になってつまらないというなら、パーの三倍をスコアにすればいい。

つまり打ち止めである。 新しいゴルフ規則では、プレーヤーのボールがバンカーから出た後でないとならしてはいけないことになったが、最近は広く長いバンカーが多く、一度で出ないケースが多い。
競技会でなければならして前進してもいいことにすべきである。 などなど、いろいろ機転を利かせてスロープレーを避けるように努めるべきである。
リーダー格の人の仕事である。 乗用の運転役は、それぞれのホールで、道路側にティーショットした人がやるべきである。
カート道路とは反対側にボールが飛んだ人は、その都度乗って前進するのがいいか、数本のクラブを持って歩いて行くのがいいか、距離関係をよく見て動くべきである。 ボールの地点への移動は直角の横移動である。
往復の距離も時間も一番無駄がないからである。 これを見誤ると、時間の無駄遣いとなる。
横歩きは面倒で、直進より歩数と時間がかかる場合が多い。 飛距離の出ない人や長の途中でチョロなどする人は、カートを人にまかせ、歩いて前進したほうが早い。

乗用のラウンドでの一番の不都合は、プレーがてんでばらばらになりやすいことである。 ゴルファーとルールブックの関係は、日本国国民と日本国憲法の関係と同じようにふだん親密な関係ではない。
ルールブックの購入経験者、通読したことのある人、携帯者、四年ごとの改訂条項を理解している人、この数はたぶん驚くほど少ないはずである。 ゴルフは世界共通である。
誰もがTともAとも同じゲームをプレーしている。 理念で言えばBがやったゲームと同じゲ−ムをしている。
ゴルフルールに則って、という点が同じだからである。 ここにゴルフの壮大さがあり、こちらから思えばゴルフの魅力である。


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