薬剤師 転職 求人を復旧させるには?
いまやオピオイド型文化に執着するのは、途上国や低開発国で「国家の選択」に同意しない民族ぐらいしかいない。
そういう民族の一つであり、生活圏の熱帯林伐採中止を訴えに代表がしばしば日本にもやってくるカリマンタン島のプナン族の場合、狩猟・採集で生きる者は5百人を割り、若者の多くは街に移住したという。
彼らは、そして世界の情報を知るために一台だけはテレビが必要だというアマゾンのシャバンテ族は、ポリタンクを日用品として獲得したナミブ砂漠のヒンバ族は、いつまで現在の生活形態を維持できるだろうか。
通念に反して、文化は人間だけのものではなく、生物は種に固有の文化をもつと私は考えているが、文明は人間だけのものである。
そして、ヒトという種の文化の存在様式は文明以外にはないのではないかと疑っている。
おっと、かく言う私はオピオイド型に結構固執している。
だが、一億総ドーパミン型化した現代一ラポンでは衆寡敵せず、ときどきなけなしのドーパミンを放出してエイリアンじゃないふりをしているのだ(ツラィ)。
そうだ。
もう一つ重要なことがあった。
ヒトは巨大化した脳を生み出すために産道を拡大する代わりに、より未熟なうちに分娩するほうを選んだ、という事実だ。
誕生時でくらべると、ヒトの脳は愛すべき隣人チンパンジーの1.1倍ほどにすぎない。
これが成長時には3倍近くにもなる。
ヒトは他の動物より極端に未完成の脳をもって生まれるのである。
この未熟な脳は、基本的な部分については設計図(DNA)を内蔵しているが、細部の仕様はいわばオプションであって、とくに大脳皮質にどんなシナプスのネットワークが形成されるかは、外部(脳以外の個体内部を含む)から受け取る情報に大きく影響される。
だから、人間の脳は世代ごとにDNAと環境の合作としてつくられる。
文明がしだいに加速せざるをえないことの生物学的な基盤がここにある。
破局をくり延べくり延べ、進むつきやない文明には後進用のギヤはない。
これは認めざるをえない。
力んだわりに何をやったのかよくわからない社会党のおたかさんじゃないが、進むつきやないのだ。
だが、どこへ?やっぱりこれは「私の知ったことか」ですませてしまいたい設問だが、ムリヤリ答えを絞り出せば、文明の危機を文明によって緩和し、破局をくり延べくり延べしながら行けるところまで、である。
ついでにW章の最後で設定した問いにも答えよう。
私は石油との長期に及ぶ共生はむずかしいと考えている。
少なくとも現段階では共生を可能にする方法は発見されていない。
1860年代の内燃機関の出現以来、わずか130年で「共生」が破綻していることは、すでにオゾンホールや地球温暖化、酸性雨などのかたちで顕在化している。
地球規模の広域現象としては大騒ぎされていないが、ヒトという生物種を蝕むある種の大気汚染は、もうかなり進行しているのかもしれない。
アメリカの肺ガンは年齢訂正しても急激に増加している。
アメリカほどではないが、日本でも増えている。
B・Eはタバコに責任を負わせているが、アメリカでも日本でも喫煙率が肺ガンの増加と見合うように上昇している事実はないと思う。
この危機に気づいて慌ててかつぎ出されたスローガンが「持続可能な開発」である。
エントロピー論に依拠して環境をうんぬんする人たちは、このスローガンを真っ向から批判する。
そもそも技術開発と経済成長が環境問題の元凶なのに、開発(発展)と環境保全の両立などという曲芸が成立するわけはないと。
この歯切れのよさは、行政側というか政策立案に責任を負う側に立つ真っ当な学者が、いくつも留保をつけたうえで「けっして不可能ではないと思う」と発言するのとは対照的である。
たいていの環境運動家はもっと気楽に、何かを少し我慢すれば環境は保全できそうなことを説いている。
人間抜きの物質の問題として考えれば、私はエントロピー派が圧倒的に正しいと思う。
いまだ素人にとってはミステリーにすぎない常温核融合や、エジソンを超える発明王にして91年東京都知事選の泡沫候補でもあった中松義郎氏が発明したという永久機関が実用技術にならないかぎりは、この見解を修正する必要はあるまい。
だが、エントロピー派は(私も)、開発も成長も拒否してなお存立しうる文明像を提示できない。
運動家の極楽トンボぶりに負けず劣らず噴飯ものなのは、彼らが文明を生み出した脳システムについてまったく無理解だからであろう。
破局をくり延べくり延べ、行けるところまで行くつきやない、という結論以外に選択肢が見当たらないのは、こういう与件があるからだ。
本書の初めのほうで、エコビジネスはすべて「もう一つの環境破壊」へ向かうものだが、対症療法的な有効性があれば、あえて反対することはない、と述べたのも同じ理由である。
ここまでつき合ってくれた読者にはもう必要ないとも思うが、念のため「環境にやさしい技術」なるものがどういうものか一つだけ例を挙げてチェックしてみよう。
何でもいいのだが、身近にあり、環境高負荷であることがわりによく知られているのに、とても捨てられない自動車がかっこうの材料だと思う。
スウェーデンは先ごろ「私たちの製品は、公害と、騒音と、廃棄物を生みだしています」という広告を打った。
だから、環境に対するマイナス・インパクトを小さくすべく努力する、という決意表明だったわけだが、こういう姿勢はず内外の自動車メーカーに共通だと思う。
そして、どんなに頑張っても負荷がゼロにならないという認識も共有されているにちがいない。
そりゃあそうだ。
自動車は、その製造にエネルギー物資を含む多量の地下資源を消費し、走らせるためには環境を破壊して道路を建設しなければならず、石油を燃やさなければ走れない。
いわば「三重苦」を背負った工業製品である。
そのなかの、石油を燃やさなければ走れない、という点に注目しよう。
排気ガスが、代表的な温暖化効果ガスの炭酸ガスや一酸化炭素、炭化水素を含んでおり、地球の炭素循環にかなりの負荷をかけているし、70年以降の排ガス規制にもかかわらず、大都市での窒素酸化物の環境基準が達成できないことに大きな責任があるからだ。
改善策として、従来どおり石油留分のガソリンを燃やすほうでは、低燃費化が環境低負荷化への道だ。
ガソリンの消費効率を上げれば、消費量が減り、必然的に排ガス中の汚染物質も減る。
その期待を背負って登場、注目を集めたのが希薄燃焼(リーンバーン)エンジンである。
コンピュータ制御で空燃比センサーにガソリン噴射量調整を連動させ、従来より薄い混合気で走ろうというものだ。
このエンジンそのもので10〜15パーセント、車体の軽量化を合わせて20〜30パーセントの燃費の向上を実現した。
しかし、この方式では窒素酸化物はむしろ増加する。
メーカーはいろいろ抑制法を工夫しているが、いまより高性能の触媒が開発されなければ解決はむずかしそうだ。
それを抜きにしても、この程度の排出減は、製造工程で増える作業のための石油消費によってかなり相殺されてしまうだろう。
ならば代替エネルギーはどうか。
現在、可能性のある代替エネルギーとしては、メタノール(現状では主として天然ガスが原料)、圧縮天然ガス(CNG)、水素、電気がある。
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